平井FP行政書士事務所

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グルグルトレインの性質

グルグルトレインの利点 ①

IFD注文がロング、ショートとも10銭間隔の建値で並んでいるので、比較的頻繁に決済がなされ、利益が積み上がっていきます
私の経験では、対象通貨を米ドル円とすると平均して1日に5件程度の決済が期待できます。
「利回りの実現可能性の向上」が図られ、見積もりを立てやすくなります


グルグルトレインの利点 ②

為替レートの上昇過程では、ロングのIFD注文は次々とポジションとなり、50銭の利幅で決済が行われ、ポジションから消えていきます。
ショートのIFD注文はポジションになった後、含み損を抱えますが、サポートロングポジションの含み益でカバーされますので、全体として含み損が大きくなることはありません




グルグルトレインの弱点

為替レートの下落過程では、ショートのIFD注文は次々とポジションとなり、50銭の利幅で決済が行われ、ポジションから消えていきます。
ロングのIFD注文はポジションになった後、含み損を抱えます。
同時に、サポートロングポジションにも含み損が発生しますので、含み損の大きさは為替レートの下落幅の倍の大きさで大きくなっていきます


為替レート大幅下落時の証拠金余裕額の計算

ここで、グルグルトレインを実行していて、大幅に為替レートが下落した場合の証拠金余裕額を計算してみます。
ロットは1米ドル、当初の口座残高をBとします。

為替レートが R0の時に最初のポジションが発生したと仮定します。
為替レートが Riの時に生じた、ロングIFDのポジションをLngi、ショートIFDをSrtiサポートロングをSptiと記します。
為替レートがR0からRに下がった時の各ポジションの損益は次表の通りです。
ここで、R = R0 - j x Δ ( Δ:注文間隔:ここでは10銭)



含み損(ロングIFD)
(R-R0)+(R-R1)+(R-R2)+(R-R3)+(R-R4)+(R-R5)+…+(R-Rj)
= (j+1) x (-jΔ)/2
= -Δ(j2+j)/2

含み損(サポートロング):含み損(ロングIFD)に同じ -Δ(j2+j)/2
グルグルトレインの考案者は、10本のロングIFDに対して1本のサポートロングを建てているので、サポートロングのロットはIFDロングの10倍となっていますが、私は、ロングIFDとサポートロングは1対1で対応させているので、ロット数も同数です。

損益(ショートIFD)
= (j-5+1)(5Δ) + (4 + 3 + 2 + 1)Δ
= 5(j - 4)Δ +10Δ
= (5j -10)Δ

有効証拠金
= B - 2Δ(j2+j)/2 + (5j -10)Δ
= B + (-j2+4j-10)Δ

必要証拠金
= (ロングポジション または ショートポション の大きい方の時価)x 0.04
= 0.04R (j+1) x 2
= 0.08R (j+1)

証拠金余裕額 = 有効証拠金 ー 必要証拠金
= {B + (-j2+4j-10)Δ} - 0.08R(j+1)


為替レート大幅下落時の証拠金余裕額の計算:ロットをLとした場合

R = R0 - jΔ なので、最後の項は
0.08R (j+1) = 0.08(R0 - jΔ )(j+1)
= 0.08(-Δj2+(R0-Δ)j+R0)
証拠金余裕額 = B + L{(-j2+4j-10)Δ - 0.08(-Δj2+(R0-Δ)j+R0)}
= B + L{-0.92Δj2 + (4.08Δ-0.08R0)j + (-10Δ-0.08R0)} ・・・(式2)

(式2)を使って、注文が1つだけのリピート注文運用同様、考察を加えます。

③ 現在のレートが150円のとき、ロット1,000米ドルで基本的グルグルトレインで運用した場合、口座に100万円あるとき、為替レートの下落にどこまで耐えられるか?

1,000,000 + 1,000{-0.92x0.1j2+(4.08x0.1-0.08x150)j + (-10x0.1-0.08x150)} = 0
全体を1,000で割り、右辺に移項すると
0.092j2+11.592j - 987 = 0
これを解くと、j=58.2
よって、R > 150 - 58.2x0.1 = 144.1円

米ドル円、注文間隔10銭、利幅50銭でグルグルトレインを実行していると、私の経験からは、1日平均5件程度決済されます。
1,000米ドルのロットでは、1件当たり500円の利益。FXは土日が休みですので、それ以外の日数、年260日を掛けると、年間利益は500円 x 5 x 260 = 650,000円。
ケース①のように、当初残高(投下資金)を1,000,000円とすると、年間利回りは65%となります。
ただし、為替レートが145円を割り込むと、取引制限を受ける可能性があります。

取引制限を避けるため、当初残高を増やしてみます。


   (注)1) グルグルトレインを私的年金目的で運用することを前提としており、運用者側から全決済することは考えませんので、含み損は無視します。
      2) 注文証拠金、スワップポイントはこの検討にほとんど影響ないので無視します。


対象通貨を豪ドル円に変更する

リピート注文運用の肝は「証拠金余裕額をゼロ以上に維持すること」なので、対象通貨を米ドルから豪ドル円に変更すると有利になります
ボラティリティ(変動率)はさほど変わらない一方、豪ドルは米ドルより安く買えます
他の条件は変えずに、対象通貨だけを変更した計算結果は以下の通りです。


⑧のケースの、証拠金余裕額がゼロとなる豪ドル円レート58円というのは、2009年まで遡る為替レートです。
将来的にこの水準にまで下落しないと断言は出来ませんが、可能性としては相当に低いものです。