平井FP行政書士事務所

 ファイナンシャル・プランナー(CFP®) / 行政書士
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グルグルトレインとは

川崎ドルえもんさんが開発した(というより、彼曰く「先人たちが築いた土台の上に、川崎ドルえもんなりのアレンジを加えて生まれた」) リピート系に分類されるFXの取引手法です。
彼は 「底辺高校卒業生と最強の為替サイト ザイFX!が作った【1日5分で稼ぐFX】グルトレ完全ガイド! 」川崎ドルえもん×ザイFX!編集部 という本(2020年9月9日発行、電子書籍本)を出しています。

この本は、FXを既に始めていて、何か良い手法はないかと探している方には格好の良書となります。
しかし、未だFXがどんなものかも分かっていない方にとっては、ちんぷんかんぷんなのではないでしょうか。
私も、友人、知人に何度か説明しましたが、まず理解してもらえません。
色々と考えた末に、何故グルグルトレインがこのような形になったのか、その進化の過程に焦点を当てたら分かり易いのではないかと考えました。
以下、この観点(ただし、あくまで私の独断と偏見に基づくものであります)から説明してみたいと思います。

FX:為替証拠金取引とは

私たちがFXと呼んでいる商品は、正しくは外国為替証拠金取引と言います。

通貨の交換

一般的な為替取引というのは、ある通貨を別の通貨と交換する取引です。 皆さんが海外旅行に行く時に、銀行や市中の為替ブローカーのブースで、実際に円を相手に渡してドルを受け取るということをします。これが一般的な 為替取引です。

差金決済

外国為替証拠金取引では、実際に通貨を交換することはしません

FX業者は、時々刻々、通貨の交換レートを提示しています。
今、「1米ドルを150円と交換します」という提示であったとします。
そして、米ドルの値上がり益を期待するあなたがその提示を受け入れたとします。この時点で、あなたとFX業者の間に契約が成立し、あなたはこの米ドルを買ったことになります。これを米ドルの「ポジションを取った」と言うように表現します。
この時点では、円を渡して米ドルを受け取るのではなく、単に契約をしただけのことなので、お金の動きはありません

時間が経ち、FX業者の提示が「1米ドルを155円と交換します」に変わり、あなたがそれを受け入れて、買ったことになっている米ドルを売ったとします。この行為を「ポジションをクローズ」した、あるいは「決済を行った」というように表現します。
この時になって初めてお金の動きが発生し、FX業者があなたの口座に150円と155円の差の5円を入金します
これが 差金決済の意味です。

取引のルール

証拠金

上記の例では、あなたがお金を受け取る側ですから、あなたが受け取りを拒否してもFX業者には何ら損が生じません
しかし あなたがお金を支払う側だったらどうでしょうか。
FX業者はあなたの口座からお金を引き出そうとしますが、あなたの口座にお金がなく、催促してもあなたが支払いを拒否したらFX業者に損が発生します。そのためFX業者はあなたに対し、ポジションを取る前にある程度の金額を口座に入れておくことを要求します。それが「必要証拠金」です。
日本ではポジションの時価の4%と決まっています。1米ドルの場合、その時の為替レートが150円であるならば、150円の4%の6円です。

必要証拠金は、FX業者にとっての「将来の為替レート変動リスク」に対するバッファーであると言えます。

ポジションの含み損益

必要証拠金は、FX業者にとっての「将来の為替レート変動リスク」に対するバッファーであると言いましたが、それでは「今現在のポジションの含み損益」はどのように考慮されるのでしょうか。
上記の例では1米ドルを150円で買いましたが、現在のレートが153円であれば3円の含み益が発生していることになります。逆に146円になった場合は4円の含み損が発生していることになります。

FX業者はこの含み損益をあなたの口座の残高に加減して考えます。(これを「有効証拠金」 と言います)
ポジションを取る前に口座残高が10円あったとします。3円の含み益があった時には、FX業者は有効証拠金は13円と計算します。4円の含み損があった時には6円となります。

先ほどの例に照らし合わせますと、150円で1米ドルのポジションを取りました。
為替レートが153円になった時、含み益が3円発生し、有効証拠金は13円となります。
その時、必要証拠金、すなわち将来の為替レート変動リスクのためのバッファーは153円の4%、6.1円ですから切り上げて7円としても、有効証拠金以内ですからそのまま取引を継続することができます
為替レートが144円になった時、含み損が6円発生し、有効証拠金は4円になります。 必要証拠金は144円の4%、5.7円ですから、有効証拠金が不足している状態になります。 従って取引は継続できません
FX業者は、有効証拠金が必要証拠金を下回った時点で、追加ポジションの取得制限をしたり、既存ポジションの一部または全てを決済(以下、「取引制限」と呼ぶ)してしまいます

レバレッジ

よくFXのレバレッジは25倍という言葉を聞くと思います。
これは取引を始めるに際し、口座に入れた金額の25倍のポジションが取れるという意味です。

口座に10円を入れたとします。取引証拠金(すなわちポジションの時価の4%)が10円になるまでポジションが取れますので、(ポジションの時価)x 4% < 10円 という計算式になり、最大のポジションの時価は、10円÷0.04 で 250円となります。
これがレバレッジ25倍の意味です。為替レートは常に変動していますので、運良く為替レートが上昇すれば良いのですが、下落すればすぐに業者から取引制限されてしまいます。